今回は「DAVID&JOHN ANDERSON」という老舗生地ブランドのシャツのシミ抜きです。
細番手というのは織られている糸の太さのことで数字が大きくなるほど糸が細いことを示します。
こちらのシャツは200番手の糸を使っていてかなり細いです。
糸が細いということは柔らかく着心地も良く、光沢のある見栄えとなります。
購入価格もそれなりになるでしょう。
フロント部分に茶色っぽいシミが付着しています。
上の四角の部分を拡大してみます。コーヒーのようなシミがあります。
初めに油性溶剤でしっかり油性汚れを除去します。
油性の汚れはシミの一番上の所に膜のように付着しているのでまずこれを除去しないと先に進まないんですね。
で、画像が油性処理後の状態です。
上の画像ではシミの周りを濃く縁どっているのがわかります。
これはタンパク質で、ここから先は水溶性の汚れの除去になります。
タンパク質の除去では酵素を用いたりして除去しますが今回は専用のシミ抜き剤を塗布します。
この辺りの判断は経験から得たものです。
さてそのシミ抜き剤を塗ったのが下の画像です。
先ほどの茶色いシミが溶解してしまっています。
乾かしてみると下の画像のような感じです。
うっすらと黄色くシミがまだ残っているのがわかりますでしょうか?
ここまで処理してきてやっと漂白処理をして残った色素を破壊します。
食べ物や飲み物汚れにおいては、油性の汚れ、タンパク質を上から順番に取り除いての漂白処理です。
市販の漂白剤をいきなり汚れにぶっかけても落ちないのはこの順番通りにシミ汚れの成分を取り除いていないからなんですね。
今回の漂白処理は酸素を色素にぶつけて色素を破壊する酸素系漂白をします。
私は下の画像の小さな容器を使って漂白処理をしています。
中に白く濁った液体が入っています。
液体と粉状の薬品を合わせて酸素を発生させているから白く濁っています。
この液体をシミの部分に塗り蒸気を発生させるコテを使って温度を加えていきます。
するとシミが消えていきます。
シミが見えなくなったのを確認して中和剤を塗って水できれいに薬品をすすぎます。
水でしっかり薬品をすすいで乾かしたのが下の画像です。
きれいになっていますね!
それは、シミが付着して間もないこと、お客様がそのままの状態で持ってこられたこと。
そしてシミの種類を見極め適正な手順で処理ができることです。
そういうわけで細番手の高級シャツでも問題なく扱うことができます。
やはりお気に入りの衣類はこまめなお手入れが必要です。
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